歯周病になりやすい人
歯周病は歯を失う1番の原因として昨今では広く知られていると思います。
歯周病は初期では自覚症状に乏しく、気がついた時には深刻な状態になっていることがあります。
人によっては40代以降徐々に歯を喪失してしまう場合もあります。
一方で高齢でも歯の本数が多い方もいます。
その違いはなんでしょうか?
歯周病には原因因子といくつかのリスク因子があります。
それらが多いほど歯周病のリスクが上がってしまいます。
今回は歯周病のリスクファクターについて確認していきます。
歯周病の原因因子
歯周病の原因として挙げられるのはプラークです。
プラークは食べかすではなく細菌の塊です。
虫歯もプラークによって起こりますが、歯周病においてのプラークは歯の周りの炎症を惹起します。
歯周病に関連すると言われる細菌はいくつかあり、歯茎に炎症を起こし、歯肉のコラーゲン繊維を分解してしまう酵素をもっています。
歯茎だけではなく歯を支えている骨まで溶かして壊していってしまいます。
結果として歯茎から血や膿が出る、歯が揺れる、口臭が気になるという症状がでてきます。
原因因子の除去には適切な歯磨きが欠かせません。
歯周病治療の最初でかつ1番重要なことは、基本的ですが患者さん自身の歯磨きなのです。
歯周病の3つの因子
歯周病には3つの因子があり、それぞれが絡み合って発症します。
前述した細菌因子の他に環境因子・宿主因子です。
環境因子というのは喫煙やストレス、食生活などを指し、ここには飲酒なども含まれます。
つまり生活習慣因子です。
宿主因子というのは遺伝的因子や性別や年齢、歯周病に関連する全身疾患が該当します。
特に糖尿病は歯周病との関連が強く示唆されています。
歯周病が悪化すると糖尿病も悪化することがあるので注意が必要です。
その他にも服用中の薬の中には歯茎が腫れてしまう副作用を持つものもあります。
歯科治療では服用中の薬の確認も大切になるのでお薬手帳などの持参はできる限り行いましょう。
歯周病のリスクファクター
歯周病のリスクファクターには前述の3つの因子が含まれています。
違う角度から見ると全身的なリスクファクターと局所的なリスクファクターとに分けることが可能です。
このような分け方をすると、環境因子や宿主因子は全身的なリスクファクターとなります。
口の中の問題は局所的なリスクファクターとなります。
細菌因子もここに含まれます。局所的な因子には他にどのようなものがあるでしょうか。
局所的なリスクファクター
歯周病の局所的なリスクファクターは噛み合わせやプラークリテンションファクターといって、プラークが付着しやすい口の中の状態(歯石の沈着、歯にあっていない詰め物や被せ物、虫歯、歯の根本がえぐれている楔状欠損など)があります。
日頃からするクセとして歯軋りや食いしばり、口呼吸もリスクファクターです。
これらの状態は自分で確認できるものもあれば、歯科医院で確認してもらわないとわからないものもあります。
可能な限り日頃から歯科医院で定期的に確認してもらうことが大切です。
全身的なリスクファクター
全身的なリスクファクターには前述した通りいくつかありますが、喫煙について触れたいと思います。
喫煙は環境因子における最大のリスクファクターであると言えます。
歯周病治療の予後に悪影響を及ぼす可能性があり、インプラントを含む外科治療がうまくいかないことにもなりえます。
最近では加熱式タバコも多く出回っていますが、日本歯周病学会の見解では加熱式タバコも良しとしていません。
欧米諸外国では早期に加熱式タバコを導入した経緯がありますが、電子タバコの口腔領域への健康被害が明らかになってきました。
したがって可能な限り禁煙をすることが大切になります。
歯周病治療で1番大事なこと
歯周病治療では最初の検査や診断などが終わった後で全ての人に基本治療というものが行われます。
いわゆる歯石取りなどです。
しかし、歯周病における原因因子はプラークのためセルフケアが1番重要になります。
どこが磨けていないのかを確認してもらったり、場合によっては子供の頃に行ったように歯の染め出しをしてどの程度汚れているかを確認してもらいます。
それを元にどのようにしてセルフケアをうまく行っていくか、検討したり工夫したりすることが重要です。
その上で噛み合わせの治療や揺れている歯の固定などを行います。
セルフケアが上手くいっていないと歯周病治療の効果が得られにくくなるので注意が必要です。
まとめ
歯周病治療におけるリスクファクターについて確認してきました。
最も大切なことはプラークコントロールです。
患者さん自身がうまく歯を磨けないとその後の治療や治癒がうまくいかないことがあります。
細菌因子を含めて歯周病のリスク因子には3つあり、それぞれが作用して絡み合うのが歯周病です。
全身的なリスクファクターとして特に重要な因子としては、歯周炎のグレードを分類する際にも確認する喫煙や糖尿病の有無や数値です。
喫煙は10本以上/日、糖尿病の基準としてHbA1cが7%以上では歯周病の新分類におけるグレード分類において1番重篤とされます。
歯周病のリスクを確認し定期的な検診を行うようにして歯周病を防ぎましょう。