舌の役割
口の中では咀嚼などにおいて歯が大切な役割をしていますが、舌も同様に大切な役割をしています。
舌には歯にできない役割がいくつもあります。
舌の特徴として、いくつもの筋肉でできている組織であることが挙げられます。
飲食や会話、飲み込みなど日常的な動作にも関与しており大変重要な役割を担います。
舌の役割はこのように多岐に渡りますが、どのような機能や働きがあるかを確認してみましょう。
舌という組織
舌は筋肉でできており、鏡で見える部位は舌体、喉奥の方を舌根と言います。
舌は外舌筋と内舌筋に分けられます。
外舌筋は舌の位置を動かす筋肉で、内舌筋は舌の形を変える筋肉です。
外舌筋にはオトガイ舌筋、舌骨舌筋、茎突舌筋があり、内舌筋には上縦舌筋、下縦舌筋、横舌筋、垂直舌筋があります。
舌の運動を司る神経は舌下神経で、舌の感覚や味覚を司る神経は異なります。
舌の特徴
舌の大きな特徴としては他の筋肉組織にはない「味覚」をもつ点です。
味蕾とよばれる味覚を感じる部位があり、舌には味蕾が多くあります。
味蕾は4種類の舌乳頭の中で、糸状乳頭を除いた茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭の3種類に存在しています。
また感覚としても舌は優れています。
2点弁別閾という2つの刺激を別々に認識できる最小の距離を表すものがあります。
この値が小さいほど感覚が鋭いことを意味していますが、舌の先は特に感覚が鋭く指先や唇と同等またはそれよりも鋭い感覚を持っています。
舌の働き
舌はご存じのようにたくさんの働きがあります。
咀嚼や発音、嚥下など多くの場面で力を発揮します。
例えば口内炎が舌にできた経験がある方も多いと思いますが、飲食時や嚥下時、発音時に痛くて困った経験はないでしょうか。
日頃当たり前のように使っているため、そのありがたみを忘れてしまいがちですが多くの機能があります。
舌の働きについて確認してみましょう。
舌の働き ①咀嚼
舌は咀嚼において重要な役割を果たします。
物を噛むのは確かに歯の役割が大きいと思います。
しかし、咀嚼した物を唾液と混ぜ塊にしていくのは舌の働きが大きいのです。
咀嚼している最中にも食べ物を歯の方に運び、食べ物を噛み砕きやすいようにする働きがあります。
咀嚼から嚥下にスムーズな一連の流れを行う手助けを舌は担います。
舌の働き ②味覚
食事が楽しめるのは、味覚を感じられることが大きいでしょう。
味覚は甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つの味を指します。
舌はこれらを感じることができる器官です。
ちなみに辛味は痛覚に由来するため味覚には数えられません。
前述のように味覚を感じる味蕾の多くは舌に分布しています。
舌は味覚を感じ取ることができる機能があります。
舌の働き ③嚥下
咀嚼した食べ物を喉の奥に送り込む機能が舌にはあります。
つまり嚥下の機能を舌が担っています。
舌は咀嚼時にも非常に巧みに動きますが、嚥下時にもしっかりと動きます。
高齢や脳卒中、認知症、神経疾患などになると舌の運動機能が衰え、舌圧も落ちていきます。
したがって飲み込みが遅くなる、むせるなどの症状が出ることがあります。
嚥下体操や吹き戻し、ペコパンダなどの商品を用いたトレーニングも大切になります。
舌の働き ④発音
話す際には舌の動きが重要になります。
『ラ行』や『タ行』、『カ行』などでは舌が上顎に触る位置が異なると思います。
嚥下の際も同じですが、舌の機能が衰えると発音も不明瞭になります。
あいうべ体操などの嚥下体操はこの発音の改善、舌の運動機能改善も図っています。
舌の働き ⑤その他
舌の働きとして歯列の安定の効果もあります。
歯は頬や唇、舌の圧力の均衡が取れた部位に並びます。
舌の圧が強い場合や舌の位置が悪ければ、歯はやや頬側に動いて並ぶこともあります。
このため幼少期から舌の位置が悪いお子さんは歯並びが悪くなる傾向があるため、舌の位置を指導し矯正することがあります。
舌は健康状態のバロメーター
東洋医学では舌の状態を見て体の状態を確認する望診(舌診)と呼ばれる診察法があります。
舌の色や形、舌苔の状態から体の状態を判断するのです。
血の巡りが悪い状況や体から排出すべき水分が溜まった状態などを判断します。
話は変わりますが、口腔内にできるがんとして最も多いのは舌がんです。
口腔がんの約6割を占めます。
舌は健康状態の指標としても大切ですが、舌に治りにくい口内炎や潰瘍がないか、しこりがないかを確認することが大切です。
まとめ
舌の役割について確認してきました。
舌は咀嚼、嚥下、発音、味覚などの機能をもつ筋肉の塊です。
私たちは加齢や疾患と共に咀嚼や嚥下の機能が落ちることがあります。
舌の機能も同様に衰えることがあり、あいうべ体操を始めとするトレーニングが大切です。
舌は健康のバロメーターとしても知られています。
加えて舌がんは口腔がんの中でも頻度が多いことを知っておきましょう。
舌は非常に多くの機能があるため、舌がんにより舌の摘出などをした場合にはQOLが著しく低下します。
摘出などの場合には再建手術などを行いますが、それでも今までのようにはいかないことが多いでしょう。
したがって舌の状態や運動機能を普段から気にすることが重要で、違和感などがあったら歯科医院に相談しましょう。






