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子どもの睡眠障害が成長に与える影響

小児のOSAとは

OSAという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

OSAは閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive sleep apnea)という意味で、睡眠時の呼吸障害を伴う疾患です。

睡眠時に鼻や舌、気道周囲の組織が気道を塞いでしまうために、低呼吸や無呼吸が発生してしまい安眠できません。

結果として睡眠時や日中に様々な病状を発症します。

よく話題になる睡眠時無呼吸症候群がありますが、小児の場合にはOSAと中枢性睡眠時無呼吸に分かれます。

一般的に小児にみられるタイプは前者のOSAです。

歯科との関わりが少ないように思われますが、どのような関わりがあるかを確認しましょう。

 

 

小児のOSAの症状

よくある症状として大人の睡眠時無呼吸のような症状が多いです。

睡眠時はいびきや呼吸が不規則になったり、止まったりする場合や寝相が悪く寝汗が多いなどが挙げられます。

日中では疲労感、倦怠感、落ち着きがない、イライラしやすいなどの症状が多いようです。

大人の症状とやや違うところは、大人の場合には日中の異常な眠気が挙げられますが、小児の場合には落ち着きのなさや多動などが特徴です。

小児でよく聞くADHDとの鑑別も大切になります。

 

 

小児のOSAの原因

原因として一般的なものはアデノイドと呼ばれる咽頭扁桃と口蓋扁桃の肥大に由来するものです。

どちらも喉の奥にある組織ですが、これらは免疫を担当する組織であり小児期に急成長します。

どちらも2から3歳ごろから大きくなります。

これにより喉の奥の気道が狭くなり無呼吸になりやすくなります。

それ以外の原因としては肥満や顎の形態異常(下顎が小さい、先天性疾患など)が挙げられます。

 

 

 

 

OSAの診断と治療

OSAの症状や原因を知った上で、診断や治療にはどのようなものがあるのかを確認しましょう。

診断や治療は基本的には耳鼻科や小児科、睡眠外来で行うことが殆どです。

歯科での治療も中にはありますが、医科からの依頼がある場合や連携して治療を行うことが基本となります。

したがって、OSAについて確認したい場合には最初に医科受診をしなければなりません。

 

 

OSAの診断

診断にはいくつかの検査項目があります(ICSD−3)。

まずは日常の睡眠時や日中における症状です。

いびきや体動による覚醒、発汗、成長の遅延、起床時の頭痛や眠気、日中の多動や攻撃性などがあります。

もう1つの検査は睡眠ポリグラフ検査というものです。

1晩中ずっと体にセンサーをつけて脳波やいびき、筋肉活動、眼球運動、呼吸などを測定するものです。

しかし、実際の臨床では全ての患者さんができるわけではないため、独自の検査で行う場合もあるようです。

その他に重症度の分類として無呼吸低呼吸指数(AHI)があります。

年齢や重症度は手術適応かどうかを決める1つの指標となります。

 

 

OSAの治療

OSAの治療として先天性疾患、筋肉の緊張が低下する疾患や肥満などを除いて、アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大が認められる場合には扁桃摘出術が一般的です。

ただし、手術が難しい場合や適応とならない場合、手術後にも症状が起こる場合には薬物療法やCPAP、口腔内装置による治療、肥満の場合には体重管理を行うこともあるようです。

口腔内装置では医科からの要請に従って狭くなった顎や歯の並び(歯列)を広げる装置を装着して治療を行うことがあります。

 

 

 

 

OSAによる将来への影響

睡眠時は様々なホルモンが脳から放出され、子どもの成長発達を促します。

しかし、OSAではその睡眠が満足にできないために様々な症状が出てきます。

一時的なものであれば良いですが、小児期という成長発達における大切な時間が奪われることになるため将来への影響が懸念されます。

どのような影響を及ぼす可能性があるかを確認しておきましょう。

 

 

OSAの影響 成長発達

睡眠時には成長ホルモンと呼ばれるホルモンが脳の下垂体前葉から放出されます。

睡眠中の特に深い睡眠であるノンレム睡眠の間に多く分泌されると言われています。

成長ホルモンは単に身長の伸びに関与するだけでなく、筋肉や肌の細胞の修復再生、代謝促進に関与します。

したがって、OSAによる低身長や体重増加不良などが起こりえます。

 

 

OSAの影響 学習能力

OSAによる日中の集中力低下や多動、注意力不足は症状として現れることが多いです。

睡眠障害による学習能力や学業成績への影響が大きいことが示唆されています。

記憶の定着や学習能力低下がOSAでない子どもと比べて顕著に現れます。

 

 

OSAの影響 心理面

睡眠不足によるイライラや攻撃性の向上も OSAの症状として挙げられます。

クラスで溶け込めないことがあったり、抑うつ症状が高くなることも挙げられます。

 

 

 

 

まとめ

小児のOSAについて確認してきました。

OSAは成長発達の重要な時期における小児の睡眠障害です。

症状も多岐に渡り、単に睡眠時の症状だけではなく、日中にも症状が出ることもあります。

将来の成長にも影響を及ぼす可能性があるため、心配な場合には受診をしましょう。

歯科医院では医科との連携により治療に携わることがあるかもしれません。

しかし、まずは OSAの診断や治療については医科、特に小児科、耳鼻咽喉科、睡眠外来などの受診をするようにして判断を仰ぎましょう。

 

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