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睡眠と歯科の関係

睡眠と歯科の関係

睡眠は老若男女誰しもが行い、重要であることは日常生活の実体験からご存じのことでしょう。

ただ、そもそもなぜ眠るのか?という疑問についてはよくわかっていないようです。

しかし、眠らないことによる問題点は詳しく研究されています。

睡眠の重要性は単に体を休めるだけでなく、記憶の整理や洞察力の向上など感情や情動にも影響します。

徹夜をして仕事や学業を頑張るということは、酔った状態に近くなり体のパフォーマンスだけでなく感情コントロールもしにくくなるそうです。

歯科に関係している睡眠時の異常は、睡眠時の歯ぎしり、食いしばり、睡眠時無呼吸症候群が代表的かと思います。

今回はこれらの事に歯科がどう関わっていくかのお話です。

 

 

睡眠の全身への影響

睡眠障害は感情や情動、健康面に影響します。

感情や情動を司る扁桃体の働きが落ちることや免疫系が落ちて風邪をひきやすいことも挙げられます。

また、実はメタボリックシンドロームも睡眠との関係が深く、睡眠時間を短くした実験では摂取カロリーが増えて内臓脂肪が増加したという研究もあります。

睡眠時無呼吸症候群は重篤のまま放置すると心筋梗塞や大動脈解離、脳卒中などの致死的な心血管障害により死亡するリスクが上がるというデータもあるようです。

睡眠時無呼吸症候群は治療により改善が見込まれるため、放置せずに治療することが大切です。

 

 

睡眠時の問題による歯科治療の関わり

歯科治療における睡眠障害への関わり方は、主に口腔内装置作成による改善が主になります。

これは医科からの連携や依頼があった場合に行うため、睡眠時の呼吸障害などがある場合にはまずは医科からの診断や治療を仰いで下さい。

ただし、歯ぎしりや食いしばりだけの場合には歯科医院で医科の診断なしでも装置を作ることが可能です。

このように歯科で行う治療には歯ぎしりや食いしばりに対する装置やいびきを改善するために装着する装置の作成が主になります。

 

 

睡眠時無呼吸症候群の検査

検査方法にはいくつか方法がありますが、問診等での自覚症状やいびきなど指摘された事項、既往歴などを確認します。

その後、自宅で行う簡易検査と入院して行う精密検査があります。

簡易無呼吸検査は自宅でもできる方法で睡眠時の血中の酸素飽和度や呼吸数、無呼吸低呼吸指数(AHI)などを確認します。

精密検査では脳波や筋電図、心電図なども測定し、睡眠の質や不整脈の有無なども確認します。

 

 

 

 

睡眠時に用いる口腔内装置

睡眠時に用いる治療装置としてはマウスピースやスプリントと呼ばれるものが挙げられます。

残っている歯の上下どちらかまたは両方にセットして就寝するものです。

用途により作成するものが異なります。

 

 

歯ぎしり・食いしばりに対する装置

歯ぎしりや食いしばりに対しての装置はナイトガードと呼ばれることが多いです。

これを装着することにより、歯ぎしり自体を防止するのではありません。

歯ぎしりすることによりかかる過大な力を和らげることが目的となります。

噛み合わせが強い方は、自身の歯が欠けたり、詰め物や被せ物が外れやすい場合や壊れやすいことがあります。

その他に過大な力は時として歯周病を悪化させてしまうこともあるため、力をコントロールするためにナイトガードを使用します。

種類は大きく2種類あり、ソフトタイプとハードタイプがあります。

利点と欠点がそれぞれあるため、担当医と相談して作成するようにしましょう。(詳しくは以前のブログに記載してあります)

 

 

睡眠時無呼吸に対する装置①

睡眠時無呼吸症候群の方において作成することがある装置です。

マウスピースを装着するのですが、上下一体となっていることがあります。

就寝時には舌は喉の奥に落ち込んでしまうため、気道が閉塞し睡眠時無呼吸になりやすくなります。

これを改善させるためにマウスピース治療では下顎を前に出すように固定し、舌を奥に落ち込ませないようにします。

専門的には下顎前方牽引装置と呼ばれます。

装置自体が大きくなりがちで装着時の違和感が大きいかもしれませんが、いびきや睡眠の質の向上、日中の眠気の減少などに寄与するとされています。

 

 

睡眠時無呼吸に対する装置②

睡眠時無呼吸症候群の中でも重症の場合にはCPAP治療が選択されることがあります。

鼻から加圧した空気を送り込み睡眠時の無呼吸を改善させる装置です。

歯科でこの装置を作成することは基本的にはなく、医科からの診断をもとに使用することになります。

前述した上下一体型のマウスピースとCPAPを併用することもあります。

 

 

 

 

自分の睡眠がおかしいと思ったら

実は睡眠は自分で評価することが難しいという結果も出ています。

あるデータでは十分に睡眠が取れていると感じている人でも実際には睡眠不足が疑われる状態であったり、不眠と回答した人でも不眠を結論づける結果が出ないこともあるようです。

睡眠の質に満足している人の4割程度の方が睡眠時無呼吸症候群の可能性があるという結果も出ています。

つまり、客観的に睡眠の質と量を計測することが重要であると結論づけられています。

従って、日中の異常な眠気、倦怠感、就寝中に何度も目が覚める、いびきを指摘される場合には一度専門医に確認してもらい睡眠障害がないかを調べてもらいましょう。

 

 

 

 

まとめ

睡眠と歯科の関係について確認してきました。

睡眠の量や質が維持されないと心身に悪影響を及ぼすことはわかっています。

若年者でも睡眠障害を起こすこともあります。

歯科で携わる治療としては主に口腔内に装着する装置作成ですが、医科からの依頼や紹介があった場合に行います。

睡眠に不安を感じるようであれば、まずは医科に相談して歯科に紹介状を書いてもらうようにしましょう。

 

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