皆さんは定期的に歯科医院に通っていますか？

日本ではまだまだ歯が痛くなったり、詰め物が取れたときだけ歯科医院に行くという方も少なくありません。

歯の治療が終わると、次は3～6か月後に定期健診に来てくださいと言われますよね。

定期健診にいらしていただいた時は、むし歯や歯周病のチェックの他に歯石取りやPMTCと呼ばれる歯のクリーニングをします。

今回は、PMTCとはどのようなものなのか、どのような効果があるのかについてご紹介します！

 

 

PMTCとは？

Professional Mechanical Tooth Cleaning

PMTCとは、Professional＜専門家：歯科医師・歯科衛生士＞による、Mechanical＜機械的＞な、Tooth＜歯の＞、Cleaning＜クリーニング＞のことです。

つまり、歯科医院で専用の機械を使って歯科医師や歯科衛生士が普段の歯磨きでは除去しきれない歯の表面の汚れをきれいにします。

 

 

PMTCは何をするのか

プラークバイオフィルムの除去

歯の表面に付くプラーク（歯垢）は細菌の塊です。

歯の表面にはペリクルという糖たんぱく質が薄い膜を作っています。

糖を摂取すると、細菌がネバネバした物質を出し歯の表面にくっつきます。ここに細菌が集まってプラークバイオフィルムが形成されます。

できたばかりのプラークは歯ブラシで落としやすいのですが、成熟してくると通常の歯磨きでは落としにくくなります。

このため、PMTCでは専用の機械でプラークバイオフィルムを除去します。

 

 

着色の除去

歯の表面の着色が気になる方もいらっしゃいますよね。

特にコーヒーやワインなど色の濃い飲み物をよく飲む方や、たばこを吸う方は着色が付きやすいです。

歯の色は笑ったときの印象を左右します。PMTCでは、歯の着色を落として白い歯にします。着色が多い方には、エアフロ―と呼ばれる専用の粉を吹き付けて行う着色除去をお勧めすることもあります。

ただPMTCでは歯の色そのものを白くすることはできないため、より白い歯を希望される方にはホワイトニングをお勧めしています。

 

 

歯面の研磨

歯の表面に凹凸や傷があると、プラークや着色が付きやすくなります。

特に普段研磨剤入りの歯みがき粉を使っている方は、細かい傷がついて汚れが付きやすい状態になっていることもあります。

PMTCでは、専用のペーストを使って歯の凹凸を埋めながら表面をつるつるに磨き上げます。これにより汚れが付きにくくなります。

 

フッ化物の塗布

歯の表面をきれいにした後は、フッ化物を塗布します。

フッ化物入りの歯磨き粉を使っている方も多いですが、歯科医院で使うのはより高濃度のフッ化物でむし歯予防に高い効果が期待できます。

フッ化物には歯の質を強化し、むし歯になりにくくする作用やむし歯菌が酸を出しにくくする作用があります。

歯の汚れをしっかり落としてからフッ化物を塗布することで、フッ素をより効果的に取り込むことができます。

 

PMTCの効果

むし歯予防

歯と歯の間や奥歯の溝など、普段から歯磨きを丁寧に行っていても汚れが落としにくい部分があります。

むし歯ができるのも大体そのような箇所で、見えにくいところなのでむし歯になってもなかなか気が付きません。

PMTCでは日々の歯磨きでは除去しきれない汚れを機械的に除去し、高濃度のフッ素塗布を行うことでむし歯予防につながります。

 

歯周病予防

歯ぐきの周りのプラークが成熟すると、歯ぐきが炎症を起こして腫れて歯周ポケットが深くなります。

深い歯周ポケットの中は歯ブラシが届かないため、歯ブラシでプラークが除去できません。そのプラークが歯石となり歯周病が進行していきます。

歯周ポケットを改善し、歯周病を悪化させないためには歯石やポケット内のプラークを除去し、炎症のない状態の歯ぐきを維持することが不可欠です。

定期的な歯石除去とPMTCで引き締まった歯ぐきを保ちましょう！

 

ただし歯科医院できれいにしただけでは、むし歯予防や歯周病予防の効果はありません。

その状態を維持するために正しい歯磨きの仕方を身につける必要があります。

歯科衛生士による口腔衛生指導を受ける事が重要です。

 

汚れが付きにくく白い歯に

PMTCを定期的に行うことで、歯の表面がつるつるした状態が維持できます。

するとプラークや着色が付きにくく、白い歯をキープすることができます。

是非、PMTCの前後で歯の表面を舌で触って比べてみてください。

つるつるした感覚が病みつきになるとおっしゃられる患者さんもたくさんいらっしゃいます！

 

まとめ

近年お口の健康が全身の健康に大きくかかわることが知られるようになってきました。

高齢になってもご自身の歯で、美味しく食事を食べられることは健康寿命を延ばすために不可欠です。

お口の健康を維持するためには日頃からのメインテナンスが欠かせません。

ただし日々の歯磨きは大切ですが、ただ磨いているのとちゃんと磨けているのでは全く違うことです。

専門家による徹底的な口腔衛生指導（正しい歯磨きの仕方など）を受ける事と、何か不具合が起きていないかの点検やご自身でケアできない部分を定期的にPMTCでケアする事を組み合わせて、

はじめてご自身の歯の健康を守ることができます。

トラブルがあったときだけ歯科医院に行くのでは問題が起きた原因を解決できず、治療を繰り返すたびにご自身の歯の寿命を短くすることになりかねません。

ぜひ定期的に歯科医院に受診し、生涯使える健康なお口を守りましょう！